任意整理のデメリットは1つ。対処法を紹介

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グリングリン
任意整理のことをネットで調べたら「戸籍に一生残る」とか「会社をクビになる」とか「選挙権や年金受給資格がなくなる」みたいな怖いカキコミを見たんだけど、ホントかな?

司法書士・辻本
その情報は全部ウソです。
債務整理の手続きの中でも、最も利用されることが多いのが任意整理です。
それだけデメリットも少なく、家族や生活への影響が少ないということです。
当記事では「任意整理のデメリットや影響、その対処法」について、わかりやすく解説しています。現在返済に悩んでいて、任意整理すべきか迷っている方はぜひご覧ください。


もくじ
・任意整理のデメリット=手続きから7~10年間、信用情報に事故情報が載ること
・ブラックリストは存在しない! 信用情報と事故情報とは?
1.事故情報掲載中は、審査に落ちる可能性が高い
2.手続きをしたクレジットカードは使えなくなる
3.手続きをしなかったクレジットカードも、使えなくなる可能性がある
4.手続きをした会社や関連会社のサービスは、利用できなくなる可能性が高い
5.事故情報掲載中は、保証人になれない
6.銀行のカードローンを任意整理すると、口座凍結される可能性が高い
7.事故情報掲載中は、信販系の賃貸保証会社を利用できない
・相手や返済状況によっては、任意整理が思い通りにいかないことも
・任意整理では、借金問題を解決できない人もいる
・任意整理のデメリットとメリットを比較する
任意整理のデメリット=手続きから7~10年間、信用情報に事故情報が載ること

任意整理は、司法書士や弁護士がお客さまに代わって貸金業者と直接交渉を行い、毎月の返済額を無理のない金額まで減額したり、手続き後の将来利息をカットすることで、返済の負担を軽くする手続きです。
任意整理を行うと、信用情報に事故情報が登録され、手続きに入ってから7~10年程度は、クレジットカードをつくったり、新たにローンを組んだりすることができなくなります。
また、任意整理を行った貸金業者からは、今後お金を借りることができなくなり、カード会社の場合はそのクレジットカードが使えなくなります。

グリングリン
それ知ってる! ブラックリストに名前が載っちゃうんだよね!?

司法書士・辻本
実は、ブラックリストというものは存在しません。
信用情報について、解説しておきましょう。
ブラックリストは存在しない! 信用情報と事故情報とは?
私たちがクレジットカードをつくったり、ローンを組んだりするとき、金融機関は審査のために「個人信用情報」を利用します。
信用情報には、個人の取引に関する契約内容や返済、支払い状況に関する客観的な事実が掲載されています。
任意整理などの債務整理を行うと、信用情報に「事故情報」が掲載されます。


グリングリン
信用情報で「契約通りきちんと支払いをしているか」「借金があっても、コツコツ返済し続けているか」を見て、信用できる人かをチェックしてるんだね!

司法書士・辻本
債務整理以外にも、3か月程度の支払い遅延などで事故情報が掲載されることがあります。
最近は「スマホの分割払いを延滞して事故情報が残り、住宅ローンの審査に落ちる」といったケースも増えているようです。
信用情報に事故情報が掲載されている間は、下記の影響があります。
1.事故情報掲載中は、審査に落ちる可能性が高い
審査の際、貸金業者は信用情報を照会(確認)します。
事故情報が残っている間(任意整理の場合は、手続きから7~10年)は、各種ローンや分割払い、借入やクレジットカードの審査などに落ちてしまう可能性が高いです。
対処法
・家族が申し込む
・事故情報が削除されるまで待つ(任意整理の場合、手続きから7~10年)
・どうしてもお金を借りる必要がある場合は、家族や親族、国の公的な貸付制度(生活福祉資金など)を利用する
2.手続きをしたクレジットカードは使えなくなる
クレジットカードを任意整理をすると、そのカードは解約扱いになり使えなくなります。
さらに、クレジットカードやカード会社のローンで購入した商品で返済中のものがある場合、返還を求められる可能性があります。
対処法
・返済中で返還したくない商品がある場合は、任意整理の対象から外す
・ETCカードが必要な人は、クレジット機能のない「ETCパーソナルカード」で代用できる
3.手続きをしなかったクレジットカードも、使えなくなる可能性がある
更新のタイミングなど不定期で、カード会社や消費者金融が利用者の信用情報を確認することがあります。
任意整理をしないカードや消費者金融も、事故情報が消えるまでは使えなくなる可能性があります。

司法書士・辻本
キャッシュレス決済が全く使えなくなる(現金払いだけになる)というわけではありません。
対処法
・カードの発行に審査が不要な、銀行口座から即時引き落としの「デビットカード」や先払い形式の「プリペイドカード」なら利用できる
→ VisaやJCBなど国際ブランドのカードを使えば、加盟店でクレジットカードと見た目は変わらずに決済可能
※ガソリンスタンドやインターネットプロバイダの支払いなど一部利用できない加盟店もある
・PayPayなどのスマホ決済やSuicaなどのICカードも使える
4.手続きをした会社や関連会社のサービスは、利用できなくなる可能性が高い
社内に顧客リストがあるため、事故情報が削除されたあとも、同じ会社やグループ会社のカードをつくったり、ローンやキャッシングのサービスを受けたりできなくなる可能性が高いです(「社内ブラック」と呼ばれることもある)。
対処法
他社のサービスを利用する
5.事故情報掲載中は、保証人になれない
たとえば、お子さんが奨学金を借りる場合、親御さんの信用情報は関係ありません(本人が借りるものなので)。しかし、事故情報が掲載されている方は、保証人になれません。
ただし、日本学生支援機構の奨学金の場合、親御さんが保証人になれなくても「機関保証」を利用して奨学金を借りることができます。
対処法
日本学生支援機構で奨学金を借りる場合は「機関保証」を利用する
6.銀行のカードローンを任意整理すると、口座凍結される可能性が高い
銀行のカードローンを任意整理すると、一時的に口座凍結される可能性が高いです。
また、消費者金融で任意整理する場合、グループ会社の銀行からも借入があると(任意整理しない)銀行の口座が凍結される可能性があります。
※消費者金融が銀行カードローンの保証会社になっている場合
対処法
・対象の口座から残高を引き出しておく
・給与や年金などが振り込まれる場合は口座を変更しておく
・クレジットカードや公共料金などの引き落とし口座になっている場合は口座を変更しておく

司法書士・辻本
銀行と消費者金融の関係がわからなくても、手続き前に任意整理を依頼する司法書士や弁護士に借入先をすべて伝えるので、事前に対処できます。
7.事故情報掲載中は、信販系の賃貸保証会社を利用できない
賃貸物件を借りる際、エポスカードやクレディセゾンなど「信販系の賃貸保証会社」に加入必須のケースがあります。
任意整理から7~10年以内に転居して新しく賃貸契約を結ぶ場合、その物件では入居審査に落ちてしまう可能性があります。
対処法
・(任意整理をした本人ではない)家族が審査に申し込む
・信販系の賃貸保証会社の加入が必須ではない物件を選ぶ
・UR賃貸住宅や公営住宅を選ぶ
・(どうしても信販系賃貸保証会社加入必須の物件に住みたい場合は)事故情報が消えるまで待つ

司法書士・辻本
任意整理をしたからといって、今住んでいる部屋を追い出されることはありません。
また、住宅ローンを返済中の場合も手続きの対象から外せば、今まで通りに住み続けることができます。

グリングリン
任意整理のデメリットは「信用情報に一定期間、事故情報が載る」ってことだけど、これだけ影響があるんだね。

司法書士・辻本
ただし事故情報は、手続きから7~10年程度で削除されます。
事故情報が削除されれば(任意整理をした業者と関連会社以外は)今まで通りにクレジットカードをつくったり、ローンを組んだり、分割払いをしたり、借入もできるようになります。
また「事故情報がある=新しい借金ができない」ということは、借金を増やさず、収入の範囲で家計をやりくりすることにつながります。



相手や返済状況によっては、任意整理が思い通りにいかないことも
任意整理は、裁判所を通さずに債権者(貸金業者)と直接交渉する手続きです。
手続き後の利息をカットし、3~5年程度の分割払いで完済できるよう和解を申し込みますが、貸金業者(街金など小規模の貸金業者、一部の債権回収業者)や手続きされる方の返済状況によっては、希望通りの和解案が通らないケースもあります。
和解がうまくいかない例
・(はじめてでも)任意整理に応じない業者がある
・2回目の任意整理は応じないケースが多い
・(将来利息の完全カットができず)5%など低い利息をつけて支払いを求められる
・分割回数を制限される

グリングリン
どんな返済状況だとダメなの?

司法書士・辻本
お金を借りてから数回しか返済していなかったり、何度も滞納している場合は厳しい対応をされる可能性があります。
私たち司法書士や弁護士は、お客さまの希望通りに和解ができるよう徹底的に粘り強く交渉を重ねていきます。
任意整理では、借金問題を解決できない人もいる
任意整理で減額できるのは、将来利息や遅延損害金のみです。
過払いが発生していない限り、基本的に借金の元金を減らすことはできません。
過払い金が発生しているのは、2007年以前の借入やクレジットカードでのキャッシングです。
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借金の元金だけを3~5年(36~60回)の分割払いで完済できない方には、借金の元金を減額できる「個人再生」や「自己破産」といった手続きを提案します。
【関連記事】任意整理しない方がいい5つのパターンを司法書士が解説
社長は任意整理できない?任意整理ができない職業ってある?
また、中小企業の代表(社長)を務めている場合、会社への融資審査として「代表取締役の信用情報」を照会されることがあるため、事故情報が残っていると不利になる可能性があります(取引先には影響がない)。
※個人信用情報を照会できるのは、本人または、信用機関に加盟しており本人の同意を得て「返済能力調査」を行う会社だけ

司法書士・辻本
任意整理が可能かどうかは、お客さまの家計や収入の状況などをしっかりお聞きしてから判断します。
上記はざっくりとした基準なので自己判断せず、まずは司法書士や弁護士に相談してみてください。



グリングリン
でも、司法書士や弁護士に手続きを依頼したら費用がかかるよね?
返済が大変だから任意整理するのに、費用まで払うって超大変じゃない?

司法書士・辻本
多くの事務所で、費用の分割払いが行えます。
手続き中、返済をストップしている間に費用を積み立てるので「返済と費用が重なって、手続き前より支払いが大変になる」ということはありません。
また、費用がかかっても「手続き後の利息を払わなくてよくなる」ということは、完済を目指す方にとって大きなメリットになります(手続き前に利益を確認し、お客さまにメリットがなければ手続きを勧めません)。
任意整理のデメリットとメリットを比べてみましょう。
任意整理のデメリットとメリットを比較する
任意整理のデメリット
・手続きから7~10年は、信用情報に事故情報が載る
・司法書士や弁護士に依頼する(代わりに手続きしてもらう)と、手続き費用がかかる
任意整理のメリット
・手続き後の利息の支払いが免除され、借金の元金だけを返せばよくなる
・毎月の返済額を、無理のない範囲まで減らせる
・手続きを依頼すると、業者からの取り立てや督促がすぐに止まる
・手続きが終わるまで、返済をストップできる
→ その間に手続き費用を積み立てられる
・過払い金が発生していた場合は、返済額(借金の元金)を減らせる
→ 借金がゼロになって手元にお金が残ることも
・手続きする相手(債権者)を選べる
→ 保証人つきの借入や返済中の住宅ローン、カーローンなどを除外できる
・司法書士や弁護士に依頼すれば、家族や職場にバレる心配がない
→ 窓口になって対応・交渉してくれるので、依頼した人は交渉が成立するまで待つだけ
(都度報告を受けたり、希望は伝えられる)
・自己破産や個人再生など、ほかの債務整理に比べてデメリットや制限が少ない
→ 手続き中の職業制限がない、借金の理由や原因を問わず解決できる

グリングリン
こうやって見ると、たしかにメリットのほうが多いなぁ。

司法書士・辻本
任意整理のいちばん大きなメリットは、手続き後の利息の支払いをしなくてよくなるということです。
利息の支払いが膨らんだ「リボ払い」などには非常に効果的です。シミュレーションを見てみましょう。
例:クレジットカードのリボ払いを任意整理すると、借金の総支払い額がいくら減るか
そのまま返済した場合
残高:100万円
支払い額:2万円 (定額方式)
金利手数料:15%
支払い回数:79回
支払い総額:157万9052円
手数料(利息):57万9052円
任意整理した場合
残高:100万円
支払い額:2万円
金利手数料:なし
支払い回数:50回
支払い総額:100万円
手数料(利息):なし

グリングリン
このケースだと任意整理すれば、リボ払いの総支払い額を60万円近く減らせるんだ!

司法書士・辻本
カードのリボ払いを続けると、支払総額や手数料(利息)は増えていきます。
手続き費用を払ったとしても、任意整理をして手続き後の利息の支払いをなくすことが大きなメリットになると思います。
返済が厳しくなったからといって、新たな会社やカードで返済のためにお金を借りたり、借金を放置してはいけません。借金総額や利息、遅延損害金が膨らんで返済する額が増えてしまいます。
家に督促がくれば、家族に知られる可能性も高くなり、無視しつづけると差し押さえにあう可能性もあります。
滞納から差し押さえまで
滞納すると、電話(翌日~1週間程度) → 郵便 → 内容証明郵便(滞納から2~3か月) → 裁判 → 差し押さえ

グリングリン
3か月滞納したら、信用情報に事故情報が載るんだよね。だったら、手続きする前から任意整理の最大のデメリットが発生している人もいるのか。

司法書士・辻本
任意整理などの債務整理は、あくまでも「個人の手続き」です。

ご家族の信用情報には影響がないので、今までと変わらずクレジットカードを使ったり、ローンを組んだりできます(任意整理をした方が、ご家族の「家族カード」を利用することも可能)。
保証人になっていなければ、ご家族に請求がいくことはありません。
また、親が債務整理してもお子さんの進学や就職には影響がありません。

司法書士・辻本
ただし、直接の影響はないものの「(任意整理をした本人が)手続きから7~10年間ローンが組めなくなる、カードが使えなくなる」ということを大きなデメリットと感じる方もいらっしゃいます。
デメリットとメリットを比較し、手続きすべきかどうか迷ったら司法書士や弁護士にご相談ください。
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