国が認めた借金救済制度の真実。怪しい点とデメリットは？

最終更新日：2023年9月14日

TwitterやInstagram、TikTokなどで「国が認めた、借金救済制度（借金救済措置）」という広告を目にすることがあります。

・簡単な診断を受けるだけで、借金が減額された

・リボ払いやクレジットカードの支払いも減らせる

・LINEで質問に答えるだけで、借金がなくなった

といった内容で「詐欺なのでは」と疑いつつ「本当に借金が減らせるなら利用したい、けど怪しい」と利用をためらっている方も大勢います。

司法書士・辻本

実は、借金救済制度の広告は、司法書士や弁護士事務所が出しているものがほとんどです。

※広告の中で「弁護士事務所監修」と表現されていることもある

借金救済制度は、司法書士や弁護士が「債務整理」という制度を広めるためにつくった（マーケティングによって生まれた）言葉＝造語です。

広告で使われている、同じ意味を持つフレーズ

国が認めた～
・借金救済制度（借金救済措置）
・借金減額制度（借金減額措置）
・借金返済制度（借金返済措置）
・救済支援制度（救済支援措置）
・返済支援制度（返済支援措置）
・リボ減額（減額申請）
・返済の一本化

また、借金救済制度の実態は「債務整理」という、借金返済の負担を軽減するための正当な手続きのことです。

借金を減額したり、ゼロにしたりできる手続きは存在するので、詐欺や嘘ではありません。

「返済の一本化」とは、おまとめローンではなく、任意整理の手続きを依頼した司法書士・弁護士事務所にお金を振り込んで、代わりに各貸金業者に返済してもらうということです（弁済代行）。

司法書士・辻本

ただし、広告で宣伝されているように「診断だけで、誰でもかんたんに借金が減らせる」わけではありません。デメリットやリスクも存在します。

たとえば、借金救済制度を利用すると一定期間、いわゆるブラックリストに登録され、お金を借りたり、クレジットカードを使ったりできなくなる可能性があります。

今回は「借金救済制度で、本当に借金を減額できるのか」、「借金救済措置を利用すると、その後の生活にどんなデメリットや影響があるのか」を、実際に借金救済制度（債務整理）を提供している司法書士がわかりやすく解説します。

グリングリン

広告の宣伝文句に踊らされないように、借金救済制度の真実を知ろう！

もくじ

国が認めた「借金救済制度」とは？
・借金救済制度の仕組み、メリット
・借金救済制度で最も利用されるのは「任意整理」
借金救済制度のデメリット
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国が認めた「借金救済制度」とは？

国が認めた借金救済制度（借金救済措置）とは、司法書士や弁護士が「実際にある借金問題の解決方法」を、より多くの方に知ってもらうためにつくった言葉で、実際には「債務整理すること」をさします。

グリングリン

自己破産は聞いたことがあるけど、債務整理ってむずかしそうだしよくわかんない。

でも「国が認めた借金救済制度です」って言われると、自分でも対象になるかも…… って思っちゃう。

債務整理とは、毎月の支払い額や借金を減らしたり、借金の支払いを免除したりして、返済に苦しむ方の負担を軽減する手続きです。

司法書士・辻本

広告には「○○区にお住まいの方限定の返済支援策」「202×年の救済措置」といった表記があるケースもありますが、債務整理は昔から多くの方に利用されてきた、返済に苦しむ方なら誰もが利用できる手続きです。

グリングリン

新しい制度ができたのかと思った！

個人の債務整理には下記の4種類があり、借金総額や家計の状況などに合わせて最適な手続きを選びます。

借金救済制度の仕組み、メリット

１．任意整理：貸金業者と交渉して、毎月の返済額を無理なく払える額まで減らし、原則手続き後の利息を払わなくて済むようにして、3～5年程度の分割払いで完済できるようにする

２．特定調停：任意整理と同じような交渉を、裁判所に間に入ってもらって本人が行う

３．個人再生：裁判所に許可をもらって、すべての債権者（お金を貸した人や業者）への借金を大幅に減らし、その金額を原則3年の分割払いで完済できるようにする。また、住宅ローンを払い続ければ自宅を処分されずに済む

４．自己破産：すべての債権者への借金の支払い義務を免除してもらう（借金がゼロになる）

【関連記事】債務整理とは？デメリットと手続きをマンガでわかりやすく説明

司法書士・辻本

（個人で行う特定調停を除く）債務整理に共通するメリットとして「手続きを開始すると、すぐに返済や貸金業者からの連絡や取り立てをストップできる」というものがあります。

返済も一時停止できるので、精神的にも経済的にも落ち着いた状態で借金問題解決への一歩を踏み出せます。

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また、どの手続きを行う場合も事前に、過去に払い過ぎた利息＝過払い金がないか調査・計算します。

過払い金とはカード会社や消費者金融などの貸金業者に払い過ぎた利息です。請求することで返金されます～と司法書士が説明しているイラスト

過払い金が発生していた場合には「過払い金請求」を行い、借金を減額したり、借金がゼロになったり、手元に現金が戻る可能性もあります。

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グリングリン

借金救済制度で借金がなくなるのは「今ある借金より過払い金が多く発生していた人」と「自己破産した人」のことなんだね。

司法書士・辻本

そうですね。さらに、5～10年以上返していない借金がある場合「消滅時効の援用」という手続きをすれば、返済しないでよくなります。

借金救済制度で最も利用されるのは「任意整理」

債務整理の中で、最も多くの方に利用されるのが「任意整理」です。

任意整理の図解。返済のお困りの方が司法書士や弁護士に相談し、司法書士が貸金業者と交渉することで「手続き後の利息カット」や「月々の支払いの減額」が可能。司法書士や弁護士が介入すると、返済や取り立てをストップできる

特定調停は「特定調停法」、自己破産は「破産法」、個人再生は「民事再生法」といった法律で認められた制度なので「国（政府）が認めた」と表現しても過言ではありませんが、任意整理は貸金業者と直接交渉する手続きなので、法律の根拠はありません。

グリングリン

「国が認めた」って言葉を使うことで、債務整理が怪しい制度じゃないことをアピールしてるんだね。

任意整理は裁判所を介さず、法律の効力を使って借金を減額するものではないため、今までの返済状況や貸金業者との交渉によっては希望通りに毎月の返済額を減額できない可能性もあります。

そうなると個人再生や自己破産など、手続きが煩雑でデメリットがより大きい手続きを利用することになります。

また、広告では「借金減額」という言葉がよく使われていますが、任意整理で今ある借金（元本）を減額できるのは、2007年以前から取引があり過払い金が発生している場合です。

任意整理で過払い金があると、借金の元本を減らせる

過払い金が発生している場合は、借金と相殺して元本を減らしたり、借金がゼロになったり、手元に現金が戻る可能性があります。

40代男性 Aさまの場合

結果：120万円以上の借金がゼロになり、7万円の過払い金を取り戻せた

16年前に借り入れをして、その後、一旦完済したかどうかも記憶が定かではなく
又、現在まで借りては返済するということのくり返しでした。
過払い金のことは知っていましたが、実際に自分の場合は
たいした金額にならないのではと、勝手に思いこんでいました。
しかし実際は120万円以上の債務が全てなくなり大変うれしく思っております。
又、何かありましたら職場が近いのでお世話になりたいと思います。
この度は本当にありがとうございました。

グリングリン

任意整理で今ある借金が大幅に減るのは、かなり前（2007年以前）からお金を借りていた人だけなんだね。

【関連記事】過払い金とは？過払い金請求の対象期間はいつからいつまで？